いつか

いてもいなくてもいい人間

解離

ボグォッ

 

私の後頭部が壁にぶつかる

殴られたようだ

男の手が首を締めてくる

体内にはまだ成分が残っているから感覚は普通より鋭いし精神も興奮状態で

怒りやすい人は更に怒りやすく

怯えやすい人は更に怯えやすくなる

 

声のようなものを叫んだ

恐怖でガタガタ震えながら蹲る

 

この頃は

自分なのに自分じゃないような感覚によくなった

子供の頃から偶にあったけれど

公園で知らない男に触られ写真を撮られたときも

車で後をつけられ自慰行為を見せられたときもあったかもしれない

もう一人の自分が少し上から自分を見てる

上から見てる自分が本体っぽくて、他人事のように冷酷になれる

男は私が叫んだ後に首から手を離して

いなくなっていた

 

これで解放された?

そんな訳無い

あいつにとって私は都合の良い人間だから

 

本体の方が冷静に分析していた

グーで殴られるのは初めてだった

殴られないように、演じたり合わせたりして生きてきたのだから