タスケテ
殴られた後も男は何事もなかったかのように連絡して来て、丸二日家で過ごして帰り、数日後に「欲しいだろ」と現れて、を繰り返していた
私はソレを欲したことがあったのだろうか
もう覚えてない
入れられても確実に効き目が弱くなっている
耐性がつきやすい体質のようだ
最初の頃のような全身の毛が逆立つ感じも浮遊感も多幸感も、あまり感じなかったし自分の意思が残ってる
でも効いている演技はし続けた
男が私をまだコントロール出来ていると思わせる為に
男は偶にネタの質のせいで効きが悪い時に殴ってきた
私は大袈裟に怯えたフリをした
殺されない事、
私が外へ出て助けを求めたら男が困る事は気付いてた
今にも逃げ出さんばかりの壊れた怯え方をすれば男は大人しくなった
仕事に行きながらそんな生活を繰り返し、どうやって逃げるか、縁を切るか考えた
相談出来る人間なんていない
ある時の仕事の通話で自称経営者という男と繋がった
よくよく話を聞けば、ただデリヘルの店長だった
私は自分の状況を半分ほど嘘を混ぜて伝えた
「今すぐ逃げろ」